01 背景
対話が印象論で発散しないための、
土台をつくる。
市民との共創で長期ビジョンを策定する。その対話の場では、参加者それぞれが自分の実感をもとに語ります。実感は貴重ですが、実感だけを積み上げると議論は発散します。声の大きさが結論を左右してしまうこともあります。
本業務は、対話に先立って「これだけは前提として共有したい構造の変化」を定量・定性の両面から整理し、議論の出発点となる基礎分析をつくるものです。予測を当てることが目的ではありません。関係者が同じ地図を見て話せる状態をつくることが目的です。
02 考え方
単一の予測値ではなく、
幅で示す。
将来人口を一つの数字で示すと、その数字の当否に議論が吸い寄せられます。私たちは、現状の趨勢が続くベースラインに加えて、施策が奏功した場合としなかった場合の3つのシナリオを設計し、将来を「幅」として提示しました。
楽観と悲観は予言ではなく、
施策の効く幅を測るための仮定。
推計は市全体だけでなく地区別に行い、合計が全体と一致する単一のモデルで構築しています。過去の実績から将来を推計するバックテストで精度を検証し、規模の小さい地区は相対誤差が大きくなることまで含めて、数値の限界を資料に明記しました。数値を信じてもらうためには、数値が語れないことを正直に書く必要があります。
03 用いた手法
人口・インフラ・産業・意識。
4つの視点を重ねる。
人口の減少そのものより、その先に何が起きるかが論点です。担い手の減少、サービスの維持限界、産業の持続性。性質の違う解析を重ねて、構造を立体的に描きました。
METHOD 01
人口・担い手の推計
コーホート要因法により、地区別・3シナリオで将来人口を推計。総人口だけでなく、生産年齢人口(担い手)とケア需要のピーク時期を読み取ります。
METHOD 02
インフラ・生活サービスの維持限界分析
公共交通の空白地域の分布と、施設種別ごとの立地に必要な人口規模(国の全国調査にもとづく存在確率)を重ね、撤退リスクの高いサービスを地区ごとに整理します。
METHOD 03
空き家・エリアの「空白」の可視化
空き家の立地と高齢単身世帯の分布を地図上で重ね合わせます。空き家は「数」ではなく人口比の「密度」で読むことで、コミュニティ維持の限界に近い地区が見えてきます。
METHOD 04
産業構造の解析
地域産業連関表から影響力係数・感応度係数・修正特化係数を算出し、域外から稼ぐ力を持つ中核産業と、その波及構造を特定します。
METHOD 05
市民意識調査の分析
政策分野ごとの「重要度」と「納得度」のギャップから優先課題を抽出し、自由記述の深掘りで、市民が失いたくないと願う価値を言語化します。
高齢化が進む地区(メッシュ)
公共交通の路線
徒歩圏との重複=担い手問題の集中点
模式図/ 実際の解析結果は守秘のため掲載していません。手法と読み取り方を示すために作成した図です。
実案件で用いるデータ:国勢調査、住民基本台帳、将来推計人口(メッシュ・地域別)、国土数値情報、地域産業連関表、市民意識調査 等
04 成果
数字が、対話のたたき台になった。
- OUTCOMEワークショップで提示する基礎分析資料(ディスカッションペーパー)を作成し、対話の共通認識を整備
- OUTCOME地区別・3シナリオの人口/担い手推計を単一モデルで構築し、バックテストによる精度検証まで実施
- OUTCOMEインフラ・生活サービスの維持限界を地区別に整理し、「何を残し、何にリソースを集中するか」という論点を構造化
- OUTCOME市民アンケートの分析から優先課題を抽出し、ビジョン策定に向けた論点に接続
DISCLOSURE POLICY
実績ページでは、クライアントとの合意が得られた範囲のみを掲載しています。本案件では、団体名・地域名・具体的な数値の掲載を控えています。掲載した図はすべて模式図であり、実際の解析結果を示すものではありません。納品物は守秘義務の対象です。